空飛ぶベッド

スーパーの店長の忘備録。

ECって何のこと??経済オンチがわかりやすく解説。

新聞でよく見かける言葉のひとつに、「EC」があります。


どうやら身の回りの生活にも大きく関わることのようなんですが、

恥ずかしながら意味をよく理解していませんでした。


今回は

・ECとは何なのか?

・ECの現状はどうなっているのか?

・自分たちのこれからの生活にどう関わっていくのか?

について調べてみました。


ECってなんのこと??


ECとは「Electronic Commerce」の略称で、

日本語に訳すと「電子商取引」です。


電子商取引、といってもイメージが湧きにくいので噛み砕いて言うと、

Amazonや楽天のように「ネット上でモノを売り買いすること」を指します。


ECには、

・Amazonでの買い物など、企業と消費者の間での取引(BtoC)

・ヤフオクでの売り買いなど、消費者同士の取引(CtoC)

・企業間での取引(BtoB)


の3種類があります。


その中でも最も多くの人に身近なのは一番上の、BtoCの取引ではないでしょうか。


BtoCにおけるECの現状。

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2017年のBtoCにおけるECの市場規模は16.5兆円で、前年から約9.3%伸びています。


また、ECの売上を全体の売上で割ったものを「EC化率」と言いますが、これも前年から約0.4%の伸び。


ネット上でモノを買う額と割合が、右肩上がりで上昇を続けているのがわかります。

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こちらの表では、BtoCのECの分野別の市場規模と伸び率を確認できます。


Bのサービス系分野とは旅行や金融などのサービスを指し、

Cのデジタル系分野は電子書籍や音楽配信サービス、ネットゲームなどを指します。


サービス系分野は諸々の事情でEC化率を算出することが難しく、またデジタル系分野はECが前提の分野なのでEC化率は100%(のはず)です。


そこで今回はAの物販系についてもう少し詳しく見ていきましょう。

物販系におけるECの市場規模とEC化率。

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カテゴリーごとに「ECの市場規模」「EC化率」「前年比」を確認できます。
この表からいろんな疑問が湧いてきたので、考えてみます。

①なんで「食品」のECは化率は低いのか?


「食品」のカテゴリーは分母である市場全体の売上が大きいにも関わらず、EC化率は(伸びて入るものの)2.41%と、全体平均の半分にも満たない数値です。


この理由として考えられるのが「鮮度」と「消費者の買い物習慣」でしょう。


例えばキャベツをスーパーに買いに行った場合、ほとんどの人はたくさん並んでいるキャベツのなかから、「どれがいちばん鮮度がいいか」「どれがいちばん大きいか」などを厳選します。


値段は同じでも1つ1つ色合いや大きさは違いますから当然の行動ですが、ネットでキャベツを買う、となるとそうもいきません。


また、あとで出てきますが、アメリカやイギリスなどと比べると土地あたりのスーパーの数が多い日本では、頻繁に買い物に出かける習慣があります。週末に1週間分まとめ買い、という買い物習慣があまりない日本では、わざわざこまめに配送を利用する方がかえって不便とも捉えられるかもしれません。


加えてネットで買うと配送料がかかる(無料サービスも5000円以上の注文で、などと高額である)ため、それなら店舗に行って、配送料を払うことなく、自分の目で納得いくものを選んで買おう、となります。


もっと言うと、配送地域や配送時間、受け渡しの方法などいろんな問題があるでしょうが、上記の理由だけでも食品へのEC化がまだまだ浸透していない説明として十分に思えます。


②なんで「家電」「書籍・映像」「文具」はEC化率が高いのか?


食品とは逆にEC化率が高いカテゴリーも見受けられます。


理由も食品とは反対で、「どこで買っても同じ」だからではないでしょうか。


特に家電は顕著ですね。

商品の名前や型番さえわかっていれば、いまやグーグルさまに聞けば機能やスペック、どこが一番安く売っているか、などが瞬時に分かってしまいます。


店舗のショールーム化が叫ばれて久しいのも家電業界ですね。


大きくて重いものが多く、持って帰るのにも一苦労。

在庫状況もネットならすぐわかりますし、配送の手続きも面倒です。


文具も一度気に入ったものが見つかれば、

店舗に行かなくても型番でネット注文ができますね。


③なんで「書籍・映像」のEC化率の伸び率が低いのか?


つづいて、EC化率の伸び率に注目してみましょう。


物販全体のEC化率の伸び率7.5%に対し、書籍・映像のカテゴリーは4.2%の伸びにとどまっています。


ここまで伸び悩んでいる原因はおそらく、電子書籍や動画配信サービスの台頭でしょう。


電子書籍の市場規模は、2011年の650億円から2017年では2550億円にまで拡大してきています。


先程の項で「大きく、重いものは持って帰るのも大変」という話をしましたが、電子書籍ならそもそもそんな問題は全くなくなってしまいます。わざわざ実物の本を注文しなくても、同じ作業で電子書籍を買えるのですから、「書籍のEC化率」で見ると伸び悩むわけです。


それでも伸びが0ではないのは、まだまだ電子書籍化されていない本が多い、というのが理由ではないでしょうか。(わたしも欲しい本が電子化されてないため、仕方なく実物の本を買うことがあります)


これから電子化の対象が拡大されれば、書籍のEC化率の伸びは鈍っていくどころか、マイナスに転じる可能性もあるのでは、と思います。


④なんで「雑貨・家具」のEC化率の伸び率は高いのか?


家具業界はもともとはネット販売に向かない業界だと言われていました。

大型の商品が多く、 物流や配送料金の問題や、サイズ感が伝わりにくいなどの問題があったためです。


通販サイトを充実させ利便性(サイズ感やテイストのわかりやすさ)の向上や、実店舗には置ききれなかったラインナップを紹介できることなどに加え、使用済み家具の引取などのサービスを提供することで利用者が増加しました。


他のカテゴリーが毎年1%未満の伸び率なのに対し、「雑貨・家具」カテゴリーは1%以上の伸び率を示しているのを見ると、実はネット販売と相性のいい業界だったんだということがわかります。


⑤他の国と比べるとどうなのか?


国内の状況については理解が深まってきましたが、海外ではどうなのでしょうか。

ここでは市場規模の割にEC化率が極端に低い「食品」のカテゴリーについて、他国の状況を見ていきましょう。


わたしが考えたいのは、「日本でこれから食品業界のEC化率はどうなっていくのか?」です。

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データの出処が違うので、これまで出てきた数値とは若干数字が違います。

またアメリカと中国は2012年のデータ、それ以外の国は2016年のデータです。

2016年のアメリカの食品EC化率は4.3%なので、置き換えて見てください。


こうしてみると、イギリスの5.5%が飛び抜けて高いことがわかります。

次いでアメリカの4.3%。



じゃあ日本が近年中にイギリスやアメリカやのように4~5%台までEC化率を伸ばすか、というとわたしの考えは「No」です。

日本の食品業界のEC化率は、すぐには大きく伸びない。

理由は「食品の買い物習慣の違い」にあります。


先程少しお話しましたが、アメリカやイギリスでは食料品の買い物は「週一回、1週間分をまとめ買い」が基本です。


なぜなら日本のように、あちこちにスーパーがある、というわけではないからです。

特に郊外ではスーパーまで遠いため買い物には車が必須なうえ、体も大きいので1週間分となると日本人では想像も絶するような物量になります。


日本のスーパーやコンビニのような気軽さはないわけですね。


そう考えると、「移動や持ち運びの手間がかからず」「ネックである配送料金もまとめ買いすることで無料サービスが受けやすい」ネット通販での買い物は、消費者にとってメリットが大きい、となります。


文化的に、ネットでの買い物が受け入れられやすい環境にあると言えます。


対して日本はどうでしょう。


多くの場合、徒歩圏内や自転車圏内にスーパーがありますし、家の周りになくても通勤の道すがらや最寄り駅の駅前・駅下なんかにあったりします。


一回の買い物も女性が持ち運べる程度の物量がほとんどです。


当然買い物には週に何度も行きますし、それを不便とも思っていません。


一回の買い物で支払うのは1500円前後ですから、配送無料のサービスを受けるには余計なものを買い足す必要があります。


この現状を踏まえると、なかなかネットで食品を買う、ということにメリットを見出しづらいのではないかと思います。利用するとしても「お米」や「水」など持ち運びに苦労する食品など限定的な使い方が主流になってくるでしょう。


…というわけで、日本の食品業界にECが浸透するのはまだまだ先の話になるのではないかと思います。


まとめ


さて、ECという言葉一つでここまでやってきましたが、

なんとなくでも日本のECの現状についてご理解いただけたら嬉しいです。


結論は食品業界にECはまだまだ浸透しない!ですが、

画期的なサービスひとつでいままでの常識が覆されるのが今の世の中です。


そうした情報を逃さないよう、

しっかりアンテナを貼っておきたいと思います。